書くだけ書いて、

かわなべひろき、石井宏樹、島崎清大、鹿児島のソングライター3人による雑文集

2018-01-01から1年間の記事一覧

あきらめ ーかわなべひろきー

あきらめる事は良くないことで、あきらめないことこそ素晴らしい、という風潮、僕は賛成していない。個人的にそんな考えにはフ⚫︎ックみが強い。あきらめないことは確かに素晴らしい。でも、さっさとあきらめてしまうことも時に素晴らしい。あきらめがつかな…

月曜日、土砂降り、かわなべひろき、気まずさ。 ー島崎清大ー

とにかく雨が苦手である。日常的に鬱屈とした感情の持ち主の僕は雨降りの音などに決して癒されることなど今後の人生において皆無である。梅雨が来る。もう最悪である。最早、気まずさを感じるまである。知り合いの知り合いなる人物に初めて会ったにも関わら…

飛行機 ー石井宏樹ー

五月二日、時刻は二十時を二分経過した所だが、俺は今、飛行機に乗って東京へ向かっている。腐れ外道、家畜の肥溜め、炊いて三日目の米の様な俺が、道も標識もない自由な空にいて、何百キロと言う距離をもものの数時間あれば渡ってしまう便利な乗り物に乗っ…

タオル ーかわなべひろきー

我が家では、衣類とタオル類は分けて洗濯機を回す。これは嫁さんのルールで、タオルの繊維が衣類につかないようにが目的。結婚するまで、そんなこと気にした経験がない僕は、体中の毛が抜け落ちるほどの衝撃を受けた。マジか…と。タオルより先に僕の繊維が抜…

ナンバープレート ーかわなべひろきー

齢34にもなって、つい最近まで軽自動車のナンバープレートが黄色だということを知らなかった。嫁さんに言わせれば、「そんなことは常識として誰でも知ってること」なんだそうな。非常識な夫でメンゴスター。 興味関心ごとは人一倍深掘りする一方、それ以外の…

ノンアルコールビール ーかわなべひろきー

ノンアルコールビールって飲む意味あるの?ねぇ?「飲む意味ないじゃん!アルコール入ってこそのビールでしょ?仏作って魂入れずだよそんなもの!握り寿司シャリ抜きだよそんなもの!」と、飲んだこともないノンアルを全否定の僕。 10年ちかく前のある日、何…

魑魅魍魎-島崎清大-

酒乱の癖がある。尽く酒に愛されすぎて、尽く酒に嫌われている。愛と憎しみは背中合わせであり、酒を憎み酒を愛し、酒に全てを持っていかれる。嗚呼、なんと悲しい一目惚れであろうか。アルコールという存在は、私の身体の中に存在する魑魅魍魎達を、活性化…

天麩羅 ーかわなべひろきー

鍋の中でジュージュー騒ぎ立てる野菜を見ている。僕は今天麩羅を揚げている。季節の野菜やきのこ、エビやキビナゴなどの海産物も鍋の中で賑やか。 時に、この漢字表記の「天麩羅」の面構えをごらんなさい。パッと見ほぼ暴走族の名前のよう。字面だけで言えば…

星ー石井宏樹ー

山が稜線を連ねる辺鄙な町の夜と言う奴は、例えば俺、恩を無礼で返すような、下品下劣の権化であるこんな男に対してでさえ、その暗幕に沢山の星を用意してくれる。 市町村合併により町の名称が変わったが、川辺郡坊津町、今で言う、南さつま市坊津町の山奥に…

生姜 ーかわなべひろきー

毎朝のように嫁さんの朝食の支度で、生姜をすりおろしている。飲食業従事者を除くと、鹿児島市で僕より生姜をすりおろしている人はそういないのではなかろうか、とさえ思う。妖怪生姜骸骨とは僕のことである。 子供の頃受けた衝撃の1つにジンジャーエールが…

褒める ーかわなべひろきー

よく人から「お前はなんでも褒めすぎ」とか「褒め上手」とか言われる。だって僕から見て、スゴイな!とか面白いな!と思うような人とばかり普段過ごしてるから僕。そーやって生活してると敢えてそうしようとしなくても、口から出る言葉は自然と褒め言葉が多…

四畳半 ー島崎清大ー

漠然、何もせぬ毎日を送っている。アイマスク越しの世界から目覚め、項垂れた焦燥と、抜けかけの眠剤からの気怠さを引き連れ、粉コーヒーを水で溶かし、氷を入れ、指で、グルグルとかき混ぜ、最後に牛乳で割る。できたての茶色い飲み物を飲むわけでもなく、…

台所 ーかわなべひろきー

かつて日本には「男子台所に入るべからず」という時代があったそうな。今となっては考えられない。むしろ多くの女性が「なんならもっと入ってこいや」と男性の積極的な台所仕事への参加を欲しているのでは。僕の1日には台所で過ごす時間が必ずある。嫌いじゃ…

カフェー石井宏樹ー

俺は普段、通い慣れたファミリーレストランへ行き食事をする時、テーブルに通されるなり、そこに備え付けられた企業名なのか、はたまたその器具の商品名なのかも知らず「ベルスター」と文字が刻印された文明を、如何にも間抜けを丸出しにした顔で一押し、偉…