書くだけ書いて、

かわなべひろき、石井宏樹、島崎清大、鹿児島のソングライター3人による雑文集

あきらめ ーかわなべひろきー

あきらめる事は良くないことで、あきらめないことこそ素晴らしい、という風潮、僕は賛成していない。個人的にそんな考えにはフ⚫︎ックみが強い。

あきらめないことは確かに素晴らしい。でも、さっさとあきらめてしまうことも時に素晴らしい。あきらめがつかないことで、自分を責めてしまったり、いつまでたっても同じことに頭を抱え続けてしまうことは多い。

 

例えば、こんな経験ない?

空かせたお腹を抱えて意気揚々と注文。「えー…この、ベーコンと夏野菜のトマトソースパスタお願いします!」しばらく後、運ばれてきた料理を口に運ぼうとしたその時、気づくのだ。

「しまった!俺、今日、白シャツ着てるやんけ!」

トマトソースパスタとカレーうどん、と言えば白シャツ着てるとき絶対に注文してはいけない料理界のレノン マッカートニー。

何も考えずなすがまま、つまり「let it be」スタイルで食べてしまうが最後、麺とソースが「twist & shout」してしまい結果、白シャツシミだらけ。細心の注意も虚しくシミを作ってしまった時などは、思わず「im a looser」と白旗を揚げることに。

そして、こんなことはこれまでも何回もあったはずで、その時々、次は白シャツの時はやめとこうと決意するんだけど、日々の暮らしの中でそんな決意は雲散霧消。

テーブルに置かれたトマトソースパスタを前に、「しまった…こんなこと繰り返すなんて、俺はなんてダメなヤツなんだ…」と自分を責めがち。

 

もう、さっさとあきらめてしまおうか。白シャツを汚さないことを、そして、同じことをくり返してしまう変われない自分の性分を。

あきらめがつかないからいつまでたっても自分を責めもすれば、シャツに忖度して自分らしくパスタを口に運べない。なんだよ自分らしくパスタを口に運ぶって。 

あきらめることで、心の平穏が手に入ることもたくさんあるね。自分に対しても人に対しても。それはとても前向きで素晴らしいことだと思うんだけどね。


それでは、今日はこの辺で


かわなべひろき
(1983年うまれ 美容師、在宅系音楽家、セルフ朝礼家)
Twitter https://twitter.com/kawanabehiroki
ブログ http://kawanabehiroki.hatenablog.com/
音楽 https://m.soundcloud.com/kawanabehiroki
勤務先美容室 https://mekashiya.amebaownd.com/

 

月曜日、土砂降り、かわなべひろき、気まずさ。 ー島崎清大ー


とにかく雨が苦手である。日常的に鬱屈とした感情の持ち主の僕は雨降りの音などに決して癒されることなど今後の人生において皆無である。


梅雨が来る。もう最悪である。最早、気まずさを感じるまである。知り合いの知り合いなる人物に初めて会ったにも関わらず、その知り合いの家に招かれた時の様な気まずさを感じる。四季は好きである。が、梅雨は要らぬ。


気まずさといえば、二十歳を過ぎてからの誕生日にも似た様な気まずさを感じる。こんな生活をしている僕が、歳を重ね、誰かに祝われる様なことがあってはいけないのである。こんな考えは今日、降っている雨のせいにしておこうと思う。明後日、誕生日、僕。


筆が進まない。思想も走らない。文も纏まらない。ああ、もうこれは、完全に雨のせいである。月曜日はかわなべひろきの仕事の休みだ。彼はとんでもない雨男なのだ。月曜は基本、雨が降る。これは雨というか、もう彼のせいだ。かわなべひろきのせいで、こんな愚の骨頂みたいな文しか残せないのだ。


もうここらで、失敬。



島崎清大(1992.5.9〜)

鹿児島 その日暮らし(Gt.Vo)

それなりに曲を書いて、それなりにライブもしてる。チェケラ。

飛行機 ー石井宏樹ー

五月二日、時刻は二十時を二分経過した所だが、俺は今、飛行機に乗って東京へ向かっている。腐れ外道、家畜の肥溜め、炊いて三日目の米の様な俺が、道も標識もない自由な空にいて、何百キロと言う距離をもものの数時間あれば渡ってしまう便利な乗り物に乗っているだけで、生意気だと思う読者もいる事だろう。言わせてもらうならば、俺は貧乏なくせにおぼっちゃま気質であり、ゆとり教育と呼ばれる教育方針のど真ん中で少年期を過ごした様な男である。生意気でない方が不自然なのだ。今一度言うが、生意気だと思った読者がいたのなら、その感想は正しいが、そんな事言われずとも、思われずとも、俺は誰よりも先に自分が生意気な奴だと知っている。俺は生意気であるが故に、今、飛行機に乗っているのだ。

さて、無闇矢鱈に屁理屈、もはや屁を振りまくってしまったが、屁を振りまくりながら俺は屁と思った、いや、ふと思った。飛行機を頻繁に利用する場合の「頻繁」は、一体どのくらいの頻度利用するのであれば使ってよい言葉なのか、と言う事である。

俺は年間八回程度は飛行機に乗っている気がするが、八回とは果たして「頻繁」なのだろうか?もし、右隣でノートを取り出し、徐に何かを書き始めた彼が年間一度か二度利用する程度なら、彼にとっては、俺は頻繁に飛行機に乗っている事になるだろう。左隣のオジさんはどうだ、腕組みしながら目を閉じて睡眠を取っている姿、いかにも飛行機に慣れていなそうな雰囲気である。この推測だと、この三人の中で俺が一番飛行機を利用している事になるが、読者の中に、年間五十回も六十回も飛行機を利用してる人がいた場合、俺の八回など、たかが知れた回数であり、この程度で悦に浸っていては笑われてしまう。よって、俺はまだまだ頻繁に飛行機を利用していない、と言う意見で妥協しよう。これで文句があるなら一人あたり二文字だけ受け付ける事にしよう。

さて、勘の鋭い読者なら気付いたと思うが、俺は三つ座席がある真ん中に座っている。年間に八回も飛行機に乗っていれば、俺は何故真ん中に座っているのか。それは座席を指定しないからである。座席を指定しない理由は単純明快、面倒臭いのである。しかし、乗った瞬間に、あの時、搭乗予約する際の手間を省いた事を後悔する。窓際で外を眺めてでもいれば、フライト中、こんな異常者染みたクソにハエが集る駄文なんか認めちゃいない。座席を分かつこの肘つきの争いもしなくてよいのである。五月二日、時刻は二十時を三十八分経過した所だ。到着予定時刻は二十一時三十分。まだ一時間も、このモジモジしたスペースで過ごさなくてはならないと思うと、こめかみの何処かしらがブチ切れそうな気分だ。

石井宏樹

ソングライター

タオル ーかわなべひろきー

我が家では、衣類とタオル類は分けて洗濯機を回す。これは嫁さんのルールで、タオルの繊維が衣類につかないようにが目的。結婚するまで、そんなこと気にした経験がない僕は、体中の毛が抜け落ちるほどの衝撃を受けた。マジか…と。タオルより先に僕の繊維が抜けてまうわ…。

 

この生活も丸五年。今ではすっかりそのスタイルに僕自身、馴染んでいる。そして、我が家で僕はタオル類の洗濯担当。

 

ちなみに、柔軟剤の類も結婚するまで使ったことがなかった僕は、洗剤、柔軟剤それぞれを入れる所が洗濯槽の中に別々に存在していることも知らなかった。


ええと、こっちにコレを入れて…ええと…こっちにコレを…水が40リットルだから…ええと…キャップの半分のところまで……。ムッズ…ムズいわ。ルール多すぎてムズい。国家試験かて。

 

生活における選択肢を削ぎ落として、少しでもシンプルに生きていたいと常々思っている。そんな僕にとって、たかだかタオルを洗濯するごときで、こんなにも多くの手続きを必要とすることに初め途方に暮れた。

 

大体何が柔軟剤だ。そんなブルジョア育ちじゃないっての。自分なんざガッサガサのタオルで上等。家で使うタオルにフワッフワなんて求めてないっての。インスタがネコばっかの女子かて。

と、「柔軟剤を使う人=インスタがネコばっかの女子」という際立った偏見を発動させる程度には、柔軟剤によってバグっていた僕。

 

そんなかつての僕も、今ではお茶の子さいさいチョチョイのチョイとばかり。柔軟剤はもう体の一部だと言っていいレベルで使いこなしている。僕のインスタにネコは一切登場しないことで、先の偏見も晴れた。

 

ガッサガサのタオル?そんなものタオルですらないよ。フッカフカにしてナンボよ。


今日はこの辺で。


かわなべひろき
(1983年うまれ 美容師、在宅系音楽家、セルフ朝礼家)
Twitter https://twitter.com/kawanabehiroki
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音楽 https://m.soundcloud.com/kawanabehiroki
勤務先美容室 https://mekashiya.amebaownd.com/


ナンバープレート ーかわなべひろきー

齢34にもなって、つい最近まで軽自動車のナンバープレートが黄色だということを知らなかった。嫁さんに言わせれば、「そんなことは常識として誰でも知ってること」なんだそうな。非常識な夫でメンゴスター。

 

興味関心ごとは人一倍深掘りする一方、それ以外のことがからっきし疎い。常識的なことさえ、まったくわからなかったり。でもみんなそんなものじゃないの、とも思う。

 

大体いつどこでそんなこと覚えるの?軽自動車が黄色いナンバープレートだって。義務教育でも教えてくれないじゃないの。

「そんなこと教えられなくても、見てれば誰でも分かるよ。観察力が足りないんだよひろき君は」とは、僕の嫁さんの談であるが確かにそうかもしれないなぁ、と。観察力乏しくて、メンゴスター。

 

ナンバープレートの色で言えば僕が小学生の頃、「黒いナンバープレートを下校時に見ると死ぬ」っていう噂が同級生を賑わせたことがある。「いやいや、そんなことあるわけねーじゃん!」と同級生を小突きつつ(絶対見ないようにするんだぞ!下校時の俺!)と胸の内では噂を8割がた信じていた。

 

思い返すと、ものすごく極端な噂で呆れてしまう。なんだよ「黒いナンバープレート見ると死ぬ」って。人を簡単に殺しすぎ。基本的人間の尊重ガン無視じゃん。憲法違反じゃん。

しかも噂を聞いた後、数日間は下校時に車のほう見ないようにしてた僕。憲法違反の噂信じてる僕もまた憲法違反者じゃん。みんなも極端な噂話には注意してね。


それでは、今日はこの辺で


かわなべひろき
(1983年うまれ 美容師、在宅系音楽家、セルフ朝礼家)
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ノンアルコールビール ーかわなべひろきー

ノンアルコールビールって飲む意味あるの?ねぇ?「飲む意味ないじゃん!アルコール入ってこそのビールでしょ?仏作って魂入れずだよそんなもの!握り寿司シャリ抜きだよそんなもの!」と、飲んだこともないノンアルを全否定の僕。

 

10年ちかく前のある日、何かの宴席でハンドルキーパーだった僕は人にすすめられるまま断る理由もないので、トクトクトクと音を立てて手に持つグラスを満たしていく初ノンアルを眺めていた。

(はぁ…ビールなんてアルコール入ってるからおいしいんじゃん。だし取ってない味噌汁が美味しいですか?ねぇ?おいしくないですよそんなもの。僕にとっちゃノンアルビールなんてそれと同じようなもうまぁっ!!

 

以来、今ではすっかりノンアルビールの大ファン。サントリーオールフリーなんてチョー最高。直訳してみて?全てが自由。都市で言うならニューヨークじゃん。行ったことないけど。いやほら、ニューヨークに行ったことある人みんな言うもん「自由な街なんだよね」。 知らんがな、自由の本当の怖ろしさ舐めんな、まぁそれはいいや。

 

ところで、ノンアルコールビールってアルコール入ってないのになんか酔えることない?僕はいつもちょっと気分良くなっちゃう。雰囲気だけでほろ酔い感覚、良い気分になっちゃう…。この雑文仲間の石井宏樹も同じこと言ってたし。

 

医者が「よく効くから飲むと良いよ」と言って患者に「ニセモノの薬」を処方して飲ませたところ、「ホンモノの薬」を処方した患者とほとんど差のない回復をしたという実験報告がある。

これを「プラシーボ(偽薬)効果」といって、要は飲んだ(安心感)という心理作用だけで充分に体は反応するって話。

 

「ノンアルビールでほろ酔い」。これも立派なプラシーボ効果じゃないの。人間の感覚なんて当てにならないなぁ。一切合切気のせいなのかもしれないなぁ。

仮にスーパーで売られてるパックのお惣菜だって、同じものを一流レストランで綺麗に盛り付けされて出されたらほとんどの人、「さすが一流レストランは違うね!」とか言っちゃうよ。僕なんか真っ先に言うタイプ。プラシーボの奴隷かわなべをよろしく。


それじゃ、今日はこの辺で


かわなべひろき
(1983年うまれ 美容師、在宅系音楽家、セルフ朝礼家)
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魑魅魍魎-島崎清大-


酒乱の癖がある。


尽く酒に愛されすぎて、

尽く酒に嫌われている。

愛と憎しみは背中合わせであり、

酒を憎み酒を愛し、酒に全てを持っていかれる。

嗚呼、なんと悲しい一目惚れであろうか。


アルコールという存在は、私の身体の中に存在する魑魅魍魎達を、活性化させ、目を座らせ、肩の重荷を増やし、罵倒雑言を口から解き放とうと、必死の形相で、追い回してくる。


それらを、優しく撫でてやる。


よって、次の日に来る後悔という念は酷く無様で、一瞬の快楽を、全て無き物にし、前の晩の微かな記憶達は、私をドン底に落としてくれるのだ。愛くるしい奴め。


もう酒を辞めよう。今日で終わりだ。

酒なんて飲んでも太るし人に迷惑をかける以外の一切がない。よし、辞めよう。てんで懲り懲りだ。



十日後、私はスーパードライの蓋をプシュッと空けた。いや、私は酒が飲みたいのではなく、このプシュッという音が聴きたかっただけだ。勘違いなさるでない。いや、本当に酔いたいなんて、そんな、やましい心なんて、一切ない。信じておくれ。




酒乱の癖がある。





島崎清大(1992.05.09〜)

その日暮らし というバンドで

Gt.Voを担当している。

珈琲と純文学とファズとゲームが好き。


-その日暮らし-

鹿児島を中心に全国を津々浦々と、

生と死の観念だけを基に活動している。


@

youtube:https://www.youtube.com/channel/UCYSoLtfkg9Y0OWsgurT9tug

soundcloud:https://soundcloud.com/seidai_sonohi/zvoudteu9a4k

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