書くだけ書いて、

かわなべひろき、石井宏樹、島崎清大、鹿児島のソングライター3人による雑文集

生姜 ーかわなべひろきー

毎朝のように嫁さんの朝食の支度で、生姜をすりおろしている。飲食業従事者を除くと、鹿児島市で僕より生姜をすりおろしている人はそういないのではなかろうか、とさえ思う。妖怪生姜骸骨とは僕のことである。

 

子供の頃受けた衝撃の1つにジンジャーエールが生姜のジュースだと知った時のこと。みんなもそんなことなかった?僕は最初信じられなかった。だってあの、刺身とか冷奴とかにつける(当時の僕にとって)辛い薬味がだよ?それがこんなにシュワシュワーっとして甘くて清涼感のある炭酸飲料に化けるなんて、天と地がひっくり返るような心持ちだった。ジンジャーエールの味の中に生姜性を全く感じ取れなかった。なんやねん生姜性て。


 母親に何度も聞いた。「ジンジャーエールに使われる生姜ってあの生姜なの?え?ほんとに?」涼しい顔で「そう。あの生姜よ。本当よ。」と答える母親。んなわけあるかーい!と、受け入れがたい事実に困惑の僕。

 

同じものの信じがたいほど異なった化け方に驚かされる、いわゆる「ジンジャーサプライズ」は他にもある。

1つの典型として僕の中では「タモリさん」が挙げられる。30年にも渡り茶の間を賑わせ、惜しまれつつも幕引きとなった「いいとも」。少年時代の僕は、週末の増刊号にかじりついたもの。腹よじれるほど笑わせてもらった。今でもだけど、タモリさん本当に大好き。


そして、同じタモリさんの「世にも奇妙な物語」。初めて見た時、いいともの時と全く違う雰囲気のタモリさんに、少年時代の僕は戦慄した。「これが、あの、いいとものタモリなのか!なんでこんなに怖くなれるの!本当に同じ人?え?」みたいな、お昼に見せる顔とのギャップにそれこそ心中にジンジャーサプライズが発動したもの。


ギャップって、人の心にすんごい刺さる。記憶にも残る。いかにも人の良さそうな人より、見た目めちゃくちゃ不良が道でゴミ拾ってた方が、心動くことない?そうゆうこと。プラスのギャップがある人はモテるとも聞く。


人生にはモテ期が3回くると聞いたことがある。僕はモテ続けて34年なので、1回目がまだ終わってないとこなんだけど、モテたい読者諸君におかれては、なんとかこのギャップを有効活用しつつ、ジンジャーサプライズの渦で異性のハートをかっさらうと良いでしょう。(あれ?最後の方書いててなんか涙が出てきたぞ…)


では、今日はこの辺で。


かわなべひろき
(1983年うまれ 美容師、在宅系音楽家、セルフ朝礼家)
Twitter https://twitter.com/kawanabehiroki
ブログ http://kawanabehiroki.hatenablog.com/
音楽 https://m.soundcloud.com/kawanabehiroki
勤務先美容室 https://mekashiya.amebaownd.com/